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てくてく図鑑

AREA2

善通寺 誕生院(西院)


観仏三昧海経 巻第六

かんぶつざんまいかいきょう かんだいろく

解説

本経は、華厳経を基礎とし仏の相好・荘厳を観ずるにはどうすべきかを説く経典で、全10巻のうちの1巻である。巻頭は色褪せているが、黄檗で染めたと思われる料紙に薄墨で界線を引き、一行に17文字を書き連ね、巻末には音釈が施されている。その文字は中国唐代(650年頃)に完成をみる楷書体を基本としながらも、縦画や右払いがやや太く、横画の起筆はうねりをもつ。この謹厳な書風や豊かな筆法から、都の官立写経所で制作されたいわゆる天平写経と推定され、奈良時代後期(8世紀後半)の書写と考えられる。
善通寺にはこの巻第六が、四国霊場第71番札所弥谷寺には僚巻で同一書生の筆になると見られる巻第二が伝存する。両寺の関係や歴史を考える上でも興味深い遺品といえる。
平成19年3月に香川県指定有形文化財に認定。

指定区分

県指定文化財

構造

紙本墨書・縦25.6cm、全長675.7cm

年代

奈良時代

所在地

香川県善通寺市善通寺町3-3-1(宝物館)